ふじむらのりゆき: Top / 作品 / 離れて、でも繋がった椅子

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Remote Furniture Toride Remote Furniture Toride Remote Furniture Toride
Remote Furniture
離れて、でも繋がった椅子
1999 -

Computer controlled chair objects
Interactive public art installation
コンピュータによってコントロールされた椅子2台
インタラクティブ・パブリック・アートインスタレーション



作品概要とコンセプト
テクノロジーと作品の関わり
公共空間でのパブリックアート
参考資料
関連したデザインワーク

ビデオ

ウインドウズメディアプレイヤー用
Quicktime プレイヤー用


過去とこれからの展示:

シーグラフ2004 エマージングテクノロジー

 アメリカ、ロスアンゼルス、コンベンションセンター、2004年8月(予定)
[シーグラフ2004 ウェブページ]


Deutsche bank international student art competition "Identity"
ドイツ銀行国際学生アートコンテスト”アイデンテティ”、およびその展覧会

  東京、赤坂、2001年2月
  ドイツ、フランクフルト、2000年11月
  ドイツ、ベルリン、2000年5月
  茨城、取手、2000年5月


Public Communication Sculpture展
公共空間での展示、アーティスト自身と他メンバーによるオーガナイズによる

  神奈川、藤沢、1999年11月
  よこはまクイーンズモール、1999年8月
  東京、銀座数寄屋橋交差点地下道、1999年7月

2つのゆり椅子が床に向かい合わせに置かれています。

観客が、ただ作品を眺めているときにはなにも起こりませんが、2人の観客がこの2つのゆり椅子に座り、揺らしはじめると、椅子に座った観客同士の間にインタラクション(やりとり)が起こります。それぞれのゆり椅子にセンサーとモーターがはいっているので、こういうことが起こるのです。

この、ゆり椅子に組み込まれたセンサーやモーターが、ゆり椅子の間に相互のやりとりを作り出すのです。そして、観客はお互いの椅子をゆらすアクションを互いに感じることができます。”離れて、でも繋がった椅子”は、このように直接的な触覚を通じたふれあいを作り出すことを目的にした作品です。

私は、まず最初に、日常のなかで会話をすること、またはその状況にどういった意味があるのかを考えてゆくうちに、この作品を考えました。そして次に、いったいどういった環境が人の会話、コミュニケーションをサポートしているのか、また、その背後にどんなルールがあるのかということを考えてみたのです。

作品”離れて、でも繋がった椅子”では、2つの向かい合わせに置かれた椅子がこの環境をあらわしていて、椅子の間に起こるインタラクション(やりとり)がこのルールを表しています。

Remote Furniture Yokohama
Exhibition in Yokohama, Kanagwa JAPAN 1999


テクノロジーと作品の関わり:

2つのゆり椅子はそれぞれ傾きセンサーとリニアモーター(前後に動くモーター)を内臓しています。
そしてそれぞれ、それをコントロールするソフトウェアが動いているコンピュータに繋がっています。
誰か観客が椅子に座ってゆらすと、傾きセンサーがそのゆれを検知して、どのくらいの角度になっているかをこのコンピュータを経由してもうひとつの椅子に信号として送るのです。
そして、もう一方の椅子に到達した信号は、リニアモーターを動かし、それが椅子の座面の動きとなって表現されます。

たいてい、こういったリモートコントロールのしくみをもったものは、マスター・スレーブ(主人・召使)という言葉でいわれるような一方が他方を常にコントロールするしくみで動いています。

(たとえば、テレビとそのリモコンのことをたとえていえば、リモコンがマスター、テレビがスレーブです。というのは、テレビは常にリモコンから一方的に指示をうけて、それに従うだけだからです。これに対して、電話はどうでしょう?電話をかける、かけられる段階では、かける側、かけられる側という立場の違いはありますが、一旦電話がつながると、2台の電話は(料金の問題は別として)対等な立場におかれます。つまり、どちらの側からも電話を切ることができますし、(技術的には)お互い同時に話すことができます。実際は2人が同時に話すと会話が成立しにくいですが)

でも、作品”離れて、でも繋がった椅子”では、完全2重(2方向、コンピュータ用語で、コミュニケーションが双方向で対等に行われている状態をいう)でインタラクション(やりとり)が起こるようになっています。そのほうが、作品のコンセプトに対して自然な解決法だからです。
もしも”ゆれ”を伝える電話のようなものがあったらどんな風に実現されるか?ここではそういう風にしくみが作ってあります。体に触れているような感触や、体の動きを2人の観客が交換して、お互いに感じるようにできるようにです。



公共空間でのインタラクティブ・アート作品:

私はこの作品”離れて、でも繋がった椅子”を、公共空間(街のひろばなど)で、通りすがりの人たちの間に偶然の出会いを引き起こすようなものとしてデザインしました。


日本の公共空間はどのように成り立っているのか?:

西洋の都市空間で起こることとは違って、日本では広場や大通りであっても、通りすがりのひとに話し掛けるような文化がない。そこでこういった作品を作ってみたのです。

もちろん、特に戦後の日本の町には西洋風にデザインされた広場があります。
でもまだ日本人はその場所をどういう風に使ってゆくかをよく知らない、あるいは認識していないようなのです。つまり、街の要素を輸入してみたものの、その使い方についてはまだ試行錯誤中なのではないでしょうか。そんなことからでしょうか。外国にいって帰ってくると、一見みかけは同じようにデザインされた街であっても、そこから受ける印象は大分ちがいます。

ちょっと視点を変えてこのことを考えてみると、日本人は裏路地や近所づきあいのような形でコミュニティを作ってゆく伝統をもってきたことに気づきます。
そんなわけで、大きな公共空間、たとえば広場は、商業的な目的や交通を円滑にする目的では使われていても、たまに大道芸人やストリートミュージシャンがいるくらいで、なにもコミュニティのためにあるわけではないようなのです。ひょっとしたらたぶん、日本人は広場なんかであっても、見知らぬ人と声をかけあうようなことをするのがちょっと恥ずかしいのかもしれません。


この作品がどのように東京周辺のひろばなどで展示されてきたのか:

そこで私はこの作品”離れて、でも繋がった椅子”を、地下鉄の地下道や大きなショッピングモールの屋内広場などで展示してみたのです。
すると、この作品は”椅子”からできあがっているので、通行人はなんだか興味をひかれ、ついに座ってしまったりしました。そして椅子を揺らし、作品を通じて遊びはじめたのです。そしてそのうちこの作品がどういうインタラクションを引き起こすのかを理解すると、とうとう他の通行人たちとこの、ちょっと変わった触覚的なコミュニケーションを楽しみはじめました。

もちろん、触覚を通じたものだけではなく、普通(?)のコミュニケーション、つまり顔をつきあわせて会話することに対してもこの作品は開かれています。2つの椅子が向かい合わせに置かれていること。それは私たちがごく普通に喫茶店やキッチンのテーブルと椅子に腰をおろして話しをするときの環境と同じなんです。

観客のなかには、この作品を使ってオリジナルの遊び方を発見してしまうような人たちもでてきました。どうも、この作品”離れて、でも繋がった椅子”は、広場などの公共空間のなかで、人の恥ずかしがる、あるいは引っ込み思案な気持ちを取り去ってしまうような効果があるようです。
私は、この作品が公共空間のまだ明らかではない可能性を見えるようにしたり、普段知り合うことのないような人たちの間に、今までは起こらなかったコミュニケーションの体験を提供してゆくような役割をもてればと思っています。

そして、そういったことこそ、パブリックアートの可能性なのではないでしょうか?



参考資料:

CAST01 -Living in mixed reality-
International symposium of art and technology,Bonn,Germany 2001
アートとテクノロジーに関する国際会議、ドイツ、ボン、2001年
この作品は、"Public Communication Sculpture -Interactive artworks in a public space"(公共空間でのコミュニケーションのための彫刻 −公共空間でのインタラクティブアート −)という題目でのポスターセッション(藤村憲之(アーティスト本人)と宇井のどかによる)で紹介されています。
出版された英文のペーパー(PDFフォーマット)

Infusion systems website
Infusion systems は、アーティスト、教育者のためのセンサーなどを開発、販売している会社です。この作品はそのなかの”傾きセンサー”と”I-cube MIDI-Digitizer”を使って、椅子の傾きの検知とモーターのコントロールを行っています(2004年現在の新バージョンではこれらは別のセンサー、マイクロプロセッサーなどに置き換えられます)。 2000年にこの作品の2つめのバージョンを製作しているなかで、この会社のウェブサイトで作品が紹介されることになりました。

Deutsche bank international student art competition "Identity" 2000
ドイツ銀行国際学生アートコンテスト”アイデンテティ”2000
この2台の揺り椅子は、その動きが相手側に伝わるようにできており、椅子を揺らすことによって不思議なコミュニケーションをする ことができる。
東京芸術大学取手校地のニュースペーパー”Tone”に掲載された藤幡正樹教授による作品紹介(PDFファイル、3ページ目)

日経BP、1999年11月24日

いすを揺らして相手とコミュニケーションする

  インターネットを利用していない発表ももちろんある。中でも目を引いたのは,修 士課程に在籍する藤村憲之氏が展示した「Distanced Furnitures」。
(作者注:この作品は最初はこういう名前でした。英語としても文法的に正しくないです。。。)揺りいす2つを 離して設置し,片方が揺れるともう一方も同じように揺れるというものだ。いすの下 部に振り子と加速度センサーが付いていて,センサーが察知したいすの動きのデータ を基に,もう一つのいすを揺らすという仕組みだ。   双方のいすに人が座っている場合,片方のいすを揺らすと,もう片方にその振動が 伝わる。インターネット技術をベースにしたほかの発表の多くが,他者とのコミュニ ケーションを肉体的に実感できないのに対して,この展示が提供するコミュニケーシ ョンの形態は斬新なものと感じられた。   藤村氏はDistanced Furnituresを,コミュニケーションについて観客とともに考え るための道具と位置付けており,7月には東京・銀座,10月には横浜の公共の場所に 展示し,さまざまな人に体験してもらったという。   (土肥 研一=ニュースセンター)



Related designworks :

Annick Collins
アニック・コリンズ
"Pixela bench", 2003
ピクセラ・ベンチ

ベンチのデザインのプロトタイプ(試作品)。アニック・コリンズによる”ピクセラ・ベンチ”は、たくさんの空気圧シリンダーからできています。 2つのベンチが空気パイプでつながれ(すくなくともそのように見えます。。。)、座るひとに愉快な驚きを与えます。
ロンドンデザイナーズブロック2003で展示されていました。

MIT Media Lab, Tangible media group
マサチューセッツ工科大学、メディア・ラボ、タンジブル・メディア(触れて感知できるメディア)グループ
"inTouch", 1997
”インタッチ”

”インタッチ”は触覚を通じたコミュニケーションを可能にする機械のすばらしい例です。この例では、エンジニアの視点から、触覚によるコミュニケーションの世界をかいまみせてくれます。

 


Copyright 2003-, Noriyuki Fujimura